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インフレから資産を守る!積立NISA投資家が知っておくべき「現金離れ」の真実【米国株の”今”をやさしく解説:初心者向けシリーズ 第4回】

積立NISAでS&P500に投資しているあなた、最近資産が増えて驚いていませんか?

私も同じ立場で、毎月コツコツ積み立てているだけなのに、気づけば評価額が大きく伸びている。

でも、この上昇の理由を理解していますか?

実は今、世界中で「現金から逃げろ」という大きな流れが起きています。

投資インフルエンサー五月さんが書いたnote「S&P500神話の終わる時」

を初心者の私なりに解釈して、誰でも分かる言葉でお伝えします。

この記事を読めば、今のS&P500上昇の本当の理由と、知っておくべきリスクが見えてきます。

目次

なぜ今「現金を持たない」が常識になったのか?

お金の価値が減る時代の新しいルール

  • インフレによって現金の価値は日々目減りしている
  • 会社員など労働者が最も不利な立場に置まれる構造
  • 投資は贅沢ではなく生活防衛の手段に変わった

インフレとは、お金に対する物の価格が継続的に上がっていく現象を指します。

たとえば、去年300万円で買えた車が、

今年は350万円払わないと同じ性能のものが買えなくなった状態です。

つまり、

あなたの預金通帳に書かれている数字は変わらなくても、実際に買えるものは減っているということ。

2008年のリーマンショック以降、世界中の中央銀行(お金を発行する国の機関)は金融危機に対処するため、

大規模な金融緩和を繰り返してきました。

簡単に言えば、市場にどんどんお金を供給し続けたのです。

その副作用がここ数年、厳しいインフレという形で表れ始めました。

インフレ税という見えない搾取

特に問題なのは、物価は今すぐ上がるのに、

お給料の上昇は遅れて、しかも物価上昇に追いつかないことが多いという点です。

これは経済学で「インフレ税」とも呼ばれる、目に見えない搾取といえます。

30年ものデフレ(物価が下がり続ける)に慣れていた日本人にとって、

この変化は特に衝撃的でした。

「現金を持っていると目減りするだけ。株でも不動産でもいいから何かしらのリスク資産に変えよ」

というメッセージが新鮮に映り、

日に日にその声が大きくなっています。

もはや「老後2000万円問題」といった将来の話ではありません。

「このままだと日々の生活が苦しくなるから投資せざるを得ない」

という切実な動機で市場に参加する人が増えているのです。

「ディベースメントトレード」って何?

現金を空売りする時代がやってきた

  • 通貨の価値切り下げに賭ける新しい投資の考え方
  • 株式、金、ビットコインへの投資はすべて同じ動機
  • SNSを通じて一般投資家にも広がる金融トレンド

近年、投資の世界で「ディベースメントトレード(Debasement Trade)」という言葉が聞かれるようになりました。

直訳すれば「通貨の価値切り下げに賭ける取引」です。

金やビットコインなど代替資産への投資を支えているのが、

ディベースメント・トレード(通貨価値下落に備えた売買)と呼ばれる取引だとされています。

平たく言えば「現金(法定通貨)を空売りする」という意味合いになります。

インフレによってお金の価値が下がり続ける局面では、

現金で持っているだけで損をする。

だから現金以外の資産(株式、金、暗号資産、不動産など)に変えておくのが賢明だという考え方です。

すべての投資が同じ動機で動いている

ここ1~2年の動きを振り返ると、米国株ロング(株を買うこと)も、金(ゴールド)への投資も、

企業がビットコインを資産として保有する動きも、

究極的にはすべて同じアイデアによって動いています。

それがインフレヘッジ、言い換えれば法定通貨(国家が発行するお金)の価値下落に備える動き、

すなわち「現金離れ」なのです。

2024年については、実は金の上昇率が最も高く、わずかな差で2位が米国株式となったというデータがあります。

世界中で「薄まっていく現金から逃げろ」という意識が高まれば、

株式と金が似たような値動きになることも不思議ではありません。

そして、この流れを市場に誘い込んだ立役者が、

昨今メジャー化しつつある投資インフルエンサーたちです。

彼ら・彼女らは「インフレから身を守るためには投資しかない!」と

熱心に説き、投資とは無縁だった層を啓蒙しました。

そこで口を揃えて「最も手軽で信頼できる投資先」として紹介するのが、

決まってS&P500か全世界株式(オルカン)なのです。

参考:東海東京証券 – インフレヘッジの解説

パパスタ

私もまさにインフルエンサーの指示通り、5年前にS&P500にフルベットしました笑

S&P500と金の意外な共通点

20年で見えてきた資産防衛の真実

  • 過去20年でS&P500と金のリターンがほぼ同等
  • 2024年は金が米国株式を上回る上昇率を記録
  • 両者の価格上昇は「現金離れ」という同じ動機から

実は驚くべきデータがあります。

1999年末から2024年9月末までの24年9カ月の間に、

S&P500(配当込み)は米ドル建てで約6.2倍となったが、

金価格はそれを上回る約9.1倍となったのです。

一般的に、金は利息も配当も生み出しません。

それなのになぜ、これほどまでに上昇してきたのでしょうか?

金が持つ通貨としての希少性

その一つの要因は「金の通貨としての希少性」にあります。

金は古くから装飾品や宗教的な儀式に使われてきましたが、

同時に通貨そのものでもありました。

1971年まで金は米ドルの価値の裏付けでもあったこともあり、

今でも米ドルの代替通貨とも考えられています。

つまり、S&P500への投資も金への投資も、

根っこにあるのは同じ考え方なのです。

「国が発行する紙幣の価値が下がり続けるなら、実物資産や企業の株式に変えておこう」という発想。

20年間では米国株式に続くのが、意外にも金となっており、

全世界株式や先進国株式を上回るパフォーマンスとなっているというデータもあります。

長期的に起きていた現象が今注目される理由

ここで重要なポイントがあります。

法定通貨(現金)の価値が下がり続けるのは、

実は今に始まったことではありません。

インフレ率2%でも単純計算で30年あれば通貨の実質価値は半分以下になります。

本来は長期的にずっと起きていた現象なのです。

それが直近になって急に意識され大騒ぎになったのは、

裏を返せばインフレヘッジ(現金離れ)そのものが一種のブームになっているとも言えます。

参考:ピクテ投信投資顧問 – 金と株式の組み合わせ効果

金ETF「GLD」が教えてくれる投資ブームの実態

数字で見る過熱感の正体

  • 過去5年で123%上昇したが半分近くが直近1年の動き
  • ファンダメンタルズだけでは説明できない急騰
  • 大衆が動き始めたことによる熱狂が含まれている可能性

具体的な例を見てみましょう。

代表的な金ETF(上場投資信託)である「GLD」の価格推移を見ると、興味深い事実が浮かび上がります。

過去12ヶ月でGLDは57.94%変動したというデータがあります。

仮に過去5年で約123%の上昇だったとすると、

そのうち年初来(直近1年)の上昇率が約52%にもなる計算です。

5年分の上昇の半分近くが1年で起きたことになります。

ブームの過熱感をどう見るか

ここで考えてみてください。

ここ1年で急に現金の価値が半分になるほどのインフレが起きたでしょうか?

常識的に考えればNOです。

つまり、この動きには「みんなが動き始めた」ことによる熱狂が相当程度含まれていると推測できます。

投資の専門用語で言えば、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)だけでは説明できない値動きということです。

これは危険なサインなのでしょうか?

大衆が本格的に動いた時の波の大きさは計り知れないというのも、

市場の歴史が教えるところです。

「ブームのスイッチ」が押されてしまった以上、

今が始まりでここからさらに長く続くというシナリオも十分考えられます。

ただし、知っておくべきは、

こうした動きには必ず調整局面(価格が下がる時期)が訪れるということです。

永遠に上がり続ける資産はありません。

参考:Bloomberg – ディベースメントトレードの解説

投資インフルエンサーが果たした役割

SNSが変えた投資の常識

  • YouTubeやSNSを通じて投資知識が民主化された
  • 「インフレから身を守るには投資しかない」というメッセージ
  • S&P500とオルカンが決まって推奨される理由

この「現金離れ」の流れを加速させたのが、

投資インフルエンサーたちの存在です。

YouTubeやX(旧Twitter)、Instagram、TikTokなどのSNSを通じて、

彼ら・彼女らは「インフレから身を守るためには投資しかない!」と熱心に説いてきました。

その結果、これまで投資とは無縁だった層が大量に市場に参加するようになったのです。

なぜS&P500とオルカンなのか

そして彼らが口を揃えて推奨するのが、S&P500か全世界株式(オルカン)です。 なぜこの2つなのでしょうか?

理由は明確です:

  • 手数料が安い(年0.1%前後)
  • 分散投資ができる(S&P500なら米国大企業500社、オルカンなら世界中の約3000社)
  • 長期的に右肩上がりの実績がある
  • 初心者でも理解しやすい

過去10年間のS&P500の平均リターンは約10.2%という実績があります。

この数字は確かに魅力的です。

しかし、ここで重要なのは「なぜ今、これだけ多くの人がS&P500に投資しているのか?」という背景を理解することです。

それは単に「良い投資先だから」というだけでなく、

「インフレから逃れるための生活防衛として」という切実な動機があるのです。

積立NISA投資家が今知っておくべきこと

S&P500は万能じゃないけれど

  • S&P500は凡人には今も最適解の一つ
  • ただし「神話」として盲信するのは危険
  • ブームには必ず調整局面が訪れる

私自身、投資については無知なので、大勢の方と同様に思考停止でS&P500にフルベットしています。

現在とても資産が増えているのでびっくりしている状況です。

この連載を通じて言いたいことは、

S&P500は万能じゃないけれど、凡人には今も最適解の一つだということ。

S&P500が初心者に向いている理由

なぜなら:

  • 手数料が安く長期投資に向いている
  • 米国経済の成長を丸ごと享受できる
  • 分散投資の効果が得られる
  • 初心者でも理解しやすく続けやすい

しかし同時に、「神話」として盲信するのは危険だということも理解しておく必要があります。

今の上昇を支える複数の要因

今のS&P500の上昇には、以下のような要因が複雑に絡み合っています:

  1. 米国企業の実際の業績向上
  2. インフレヘッジとしての需要
  3. 投資インフルエンサーによる啓蒙活動
  4. SNSを通じた情報拡散
  5. 積立NISAなど制度の後押し

このうち2~5は、いわば「ブーム」の要素です。

ブームには必ず調整局面が訪れます。

その時、慌てて売ってしまわないためにも、今のうちにこうしたリスクを知っておくことが大切なのです。

S&P500だけでいいの?

金との組み合わせで見えてくる新しい選択肢

  • 米国株式と金を組み合わせることでリスク低減効果
  • 運用効率(リスクに対するリターン)の向上も期待できる
  • 分散投資の重要性を理解する

ここで一つの選択肢をご紹介します。

20年間においては、米国株式のみ保有するよりも、

金をあわせ持った運用のほうがリスクを軽減させただけでなく、

米国株式単独の運用成績を上回る結果になったというデータがあります。

逆相関の関係がもたらすメリット

金と米国株式の動きは逆相関の関係にあることが多いのです。

株式市場が冷え込めば、安全資産として金が注目されるためです。

そのため両者に分散投資すると、価格変動の振れ幅(ボラティリティ)が低くなるという特徴があります。

たとえば:

  • 米国株式100%の場合:リターンは高いがリスクも高い
  • 米国株式50%+金50%の場合:リターンは同程度でリスクは低い

長期投資において低ボラティリティは心理面で安定性をもたらします。

価格が大きく下がった時に慌てて売ってしまうことを防げるのです。

金投資の注意点

ただし、金への投資にも注意点があります。 金は配当を生みません。

企業のように成長して価値を生み出すわけでもありません。

あくまで「価値の保存」が目的の資産です。

そのため、金への投資比率は全体の10~30%程度にとどめ、

メインはS&P500などの株式にするという考え方が一般的です。

参考:ピクテ投信投資顧問 – 金と株式の組み合わせ効果

「みんなが投資家」になる時代の光と影

大衆化がもたらす市場の変化

  • 投資人口の増加は市場に大きな資金をもたらす
  • 一方でブームの終わりには大きな調整も
  • 冷静に長期視点を保つことの重要性

投資が大衆化するということは、市場に流れ込む資金の量が劇的に増えるということです。

これは株価を押し上げる大きな力になります。

実際、日本の積立NISAの口座数は2024年時点で2000万口座を超えたとされています。

毎月数万円ずつでも、これだけの人数が継続的に投資すれば、その影響は計り知れません。

ブームの終わりに備える

しかし、歴史を振り返れば、大衆が参加したブームには必ず終わりが訪れてきました。

ITバブル、リーマンショック、そして今度は何が起きるのか。

重要なのは、ブームの終わりを予測することではありません。

そうではなく、どんな局面でも慌てず冷静に対処できるよう、

今のうちに心の準備をしておくことです。

長期投資を続けるための心構え

そのために必要なのは:

  • 自分のリスク許容度を理解する(どれだけ下がったら耐えられないか)
  • 余裕資金で投資する(生活費に手をつけない)
  • 定期的に投資の理由を振り返る(なぜS&P500に投資しているのか)
  • 市場の変化を学び続ける(この連載のような情報に触れる)

こうした準備があれば、調整局面が来ても慌てずに済みます。

むしろ「安く買えるチャンス」と捉えることができるようになります。

結論:インフレ時代を賢く乗り切るために

知識は最大の防衛手段

今回の第4回では、インフレ時代における「現金離れ」という大きな流れと、

それがS&P500の上昇にどう影響しているかを見てきました。

ディベースメントトレードという考え方、金とS&P500の意外な共通点、投資インフルエンサーが果たした役割。

これらを理解することで、今のS&P500上昇の本質が見えてきたのではないでしょうか。

今日から始められること

あなたができることは以下の3つです:

  1. 自分の投資理由を明確にする 「なんとなく」ではなく「インフレから資産を守るため」と意識するだけで、下落局面での判断が変わります。
  2. 分散投資を検討する S&P500だけでなく、金などへの分散も選択肢の一つ。自分のリスク許容度に合わせて考えましょう。
  3. 学び続ける 市場は常に変化します。この連載を最後まで読んで、変化に対応できる知識を身につけてください。

S&P500は凡人にとって今も最適解の一つですが、神話として盲信せず、リスクを理解した上で投資を続けることが大切です。

次回第5回では、「みんなが投資家」の時代は何をもたらすか、ストックとフローという新たな視点から考えていきます

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