「あの人の顔色が気になって言いたいことが言えない」
「自分は昔から引っ込み思案だから変われない」
「誰からも嫌われたくない」
もしあなたがそんな悩みを抱えているなら、
この本はあなたの人生を根底から覆す「劇薬」になるかもしれません。
岸見一郎氏と古賀史健氏によるベストセラー『嫌われる勇気』。
発売から10年以上経っても売れ続けているこの本は、単なる「慰めの自己啓発書」ではありません。
心理学の三大巨頭の一人、アルフレッド・アドラーの思想(アドラー心理学)をベースに、
私たちの常識を「それは思い込みだ」とバッサリ切り捨てる、
極めて実践的かつ哲学的な一冊です。
この記事では、本書の核心である
「目的論」
「課題の分離」
「共同体感覚」について、
明日から使えるレベルに噛み砕いて解説します。
私は承認欲求の塊なので何度もこの本を読み返しています
なぜあなたは「変わりたい」のに変われないのか?
本書は、アドラー心理学を修めた「哲人」と、
現状に不満タラタラの「青年」との対話形式(ダイアローグ)で進みます。
この青年の悩みは、私たちの悩みそのものです。
「自分に自信がない」「性格を変えたい」。
しかし、哲人は冒頭から衝撃的な言葉を投げかけます。
「世界はどこまでもシンプルであり、人は今日からでも幸せになれる」
青年は反発します。
「そんなわけあるか! 世界はカオスで矛盾だらけだ!」と。
ここから始まる議論の中に、
私たちが変われない「本当の理由」が隠されています。
「トラウマ」は存在しない
私たちは普段、フロイト的な「原因論」で物事を考えがちです。
「過去にいじめられた(原因)から、対人恐怖症になった(結果)」
「親が厳しかった(原因)から、自己肯定感が低い(結果)」
しかし、アドラー心理学ではこれを真っ向から否定します。
「いかなる経験も、それ自体では成功の原因でも失敗の原因でもない」
「我々は過去の経験に『どのような意味を与えるか』によって、自らの生を決定している」
これが「目的論」です。
例えば、「引きこもり」の人について考えてみましょう。
原因論では「過去の傷」が原因で外に出られないと考えます。
しかし目的論では、「外に出たくない」という目的が先にあると考えます。
外に出れば、恥をかくかもしれない、傷つくかもしれない。
それが嫌だから、「不安」や「恐怖」という感情を作り出し、自分を部屋に閉じ込めているのだ、と。
「怒り」も同じです。
たとえば喫茶店のスタッフにコーヒーをこぼされて
服が汚れで咄嗟に怒鳴ったとする。
コーヒーをこぼされて怒鳴ったのは、コーヒーのせいではありません。
「相手を大声で威嚇して言うことを聞かせたい」という目的のために、
怒りという感情を「道具」として出し入れしたに過ぎないのです。
この考え方は残酷に聞こえるかもしれません。
「私の苦しみは嘘だと言うのか!」と。
しかしこれって
「過去が原因」なら過去を変えられない以上、未来も変えられないってことです。
ってことですよね?
でも
「今の目的」が原因なら、目的を変えれば、人は今この瞬間から変わることができるからです。
全ての悩みは「対人関係」にある
アドラーは断言します。
人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである
孤独も、劣等感も、幸福でさえも、他者がいなければ存在しません。
宇宙にたった一人で生きていれば、
自分が太っていようが、貧乏だろうが、関係ないからです。
では、複雑な人間関係をどう解きほぐせばいいのか?
そこで登場するのが、本書最強のツール「課題の分離」です。
「課題の分離」で人生は驚くほど軽くなる
あるいは
によって起こります。
これを解決するには
「これは誰の課題か?」を冷静に考える必要があります。
見分ける方法はシンプルです。
その選択の結果、最終的に誰が責任を引き受けるのか?を考えることです。
【具体例1:子どもの勉強】
- 親:「勉強しなさい!」と怒る
- アドラー流:勉強するかどうかは「子どもの課題」。親が強制するのは「他者の課題への介入」です。親にできるのは、いつでも支援できる準備をしておくことまで。馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできません。
【具体例2:職場の評価】
- あなた:「あの上司に嫌われたらどうしよう…」
- アドラー流:あなたをどう評価するかは「上司の課題」です。あなたがコントロールできるものではありません。あなたは「自分の仕事を誠実にこなすこと(自分の課題)」だけに集中すればいいのです。
他者の評価を気にすることは、他者の人生を生きることと同じです。
「あの人が私をどう思うか」は、相手の勝手です。そこに一喜一憂する必要はありません。
「承認欲求」を否定せよ
多くの人は「他者から認められたい」という承認欲求を持っています。
しかしアドラーはこれを否定します。
承認欲求の奴隷になると、いつの間にか「他人が望む通りの人生」を生きることになります。
それは「不自由」な生き方です。
逆に言えば、自由とは「他者から嫌われること」なのです。
嫌われることを恐れず、自分の課題を生きる。
それが「嫌われる勇気」を持つということです。
あえて嫌われろという意味ではありません。
「嫌われる可能性を恐れて、自分を曲げるな」という意味です。
幸福の正体は「貢献感」
では、承認欲求を捨てて、孤立して生きろということでしょうか?
いいえ、違います。
対人関係のゴールは「共同体感覚」です。
他者を「敵」ではなく「仲間」と見なし、
そこに「自分の居場所がある」と感じること。
そのためには、承認欲求(他者から何をしてもらうか)ではなく、
他者貢献(他者に何ができるか)に軸足を移す必要があります。
ここで重要なのは、「貢献感」は主観でいいということです。
実際に相手が喜んだかどうか(行動レベル)ではなく、
「私は誰かの役に立っている」と自分が感じられること(存在レベル)で十分なのです。
- 自己受容: できない自分をありのまま受け入れ、前に進む。
- 他者信頼: 条件を付けずに、他者を信じる(裏切るかどうかは相手の課題)。
- 他者貢献: 自分の存在が誰かの役に立っていると感じる。
この3つが揃った時、人は「私はここにいてもいいんだ」という所属感を得て、本当の幸せを感じることができます。
結論:世界はシンプルであり、人生は「いま、ここ」で決まる
『嫌われる勇気』が教えてくれるのは、究極の個人主義でありながら、究極の利他主義でもあります。
過去のトラウマを言い訳にせず、未来の不安に怯えず、「いま、ここ」を真剣に生きる。
人生は物語のような線ではなく、無数の点の連続です。
今の瞬間にダンスを踊るように生きれば、過去も未来も関係ありません。
もしあなたが今、人間関係に疲れ、自分を変えたいと願っているなら、
ぜひこの本を手に取って、哲人と青年の対話に参加してみてください。
読み終わった後、これまで見ていた景色がガラリと変わって見えるはずです。
世界はシンプルです。複雑にしているのは、あなた自身なのですから。
