なぜ今S&P500に投資するべきなのか
S&P500に投資しているけど、本当にこのまま続けて大丈夫なのか。
そんな不安を抱えていませんか?
私自身、積み立てNISAでS&P500にフルベットしています
だからこそ、あなたの気持ちがよくわかります。
実は今の米国株式市場では、
たった7社の巨大企業が全体の成長を支配しているんです。
投資インフルエンサーの五月さんが書かれたnote
「S&P500神話の終わる時 ~インデックス投資バブルの形成過程と、AI投資がもたらす株式市場のレジームチェンジ~|五月(片山晃)」
をさらに噛み砕いた記事になります。
この構造を理解すれば、
あなたの投資判断が格段に明確になります。
この記事を読めば、
なぜS&P500が過去15年で年率10%以上も成長したのか、
そしてマグニフィセント7という7社がどれほど市場を支配しているのかが手に取るようにわかります。
Mag7とは?米国株を支配する7社の正体
- 米国株式市場で最も影響力を持つ7社の総称
- アップル、マイクロソフト、グーグル、アマゾン、メタ、エヌビディア、テスラで構成
- S&P500指数の上昇をほぼ独占的に牽引している存在
マグニフィセント・セブン(Magnificent 7、略してMag7)というのは、
現在の米国株式市場で圧倒的な存在感を放つ7社のテック企業のこと。
具体的には、Apple(アップル)、Microsoft(マイクロソフト)、Alphabet(アルファベット=Google)、Amazon(アマゾン)、Meta(メタ=Facebook)、Nvidia(エヌビディア)、Tesla(テスラ)です。
これらの企業が「マグニフィセント(壮大な)」と呼ばれるのには、
ちゃんとした理由があります。
S&P500指数の上昇分の大部分を、
この7社だけで生み出しているからなんです。
私たちが毎日使っているスマホ、
検索エンジン、
SNS、
ネット通販、
すべてこの7社のサービスですよね。
つまり、世界中の人々の生活に深く入り込んでいるからこそ、
これほどまでに稼げる構造になっているわけです。
なぜたった7社がこれほど強いのか
たとえば
市場に売上高1,000億円の企業が10社あったとします。
どの会社も営業利益率10%で、
税金などを差し引いた純利益が70億円ずつ。
各社の利益70億円×10社で、合計700億円の市場です。
この場合、普通のまずまず好調な企業としてPER(株価収益率=株価が利益の何倍かを示す指標。数値が高いほど将来の成長期待が大きい)
PERは15倍程度つくでしょう。
市場全体の純利益は700億円だから、
PER15倍なら市場全体の時価総額は約1.05兆円になります。
次に、10社のうち1社だけが異常に稼ぐ状況を考えてみてください。
残り9社は極端に利益率が低下して
営業利益が1%(10億円)しかなくなり、
その分の利益をすべて最後の1社が奪ったとしましょう。
残る1社は自社の100億円に加え、
他の9社から90億円×9=810億円分を吸い上げ、
営業利益910億円(純利益約637億円)を稼ぐ「スーパー企業」になるんです。
他の9社は利益が激減しましたが、一応黒字なので、
まとめて1,000億円ぐらいの評価にとどまります。
利益集中が生む驚きの市場効果
ここからが面白いところです。
市場全体の純利益合計は変わらず700億円程度なのに、
利益の大半を稼ぐ1社には、
ものすごい成長期待と参入障壁(他社が入りにくい独占的な強さ)の高さが感じられますよね。
投資家は「この会社は他を圧倒する競争力を持っている」と考えます。
すると、リスクプレミアム(投資のリスクに対して求める見返り)が下がり、
より高いPERを許容するようになるんです。
たとえばこのスーパー企業にPER25倍や30倍がついても不思議じゃありません。
仮にPER30倍がつけば、
その1社だけで時価総額約1.91兆円にもなります。
仮に20倍でも1.27兆円です。
他の9社は合わせてせいぜい0.1兆円(1,000億円)くらいでしょうから、
市場全体としては約1.37兆〜2.01兆円の時価総額になります。
これは、全社が平均的に稼いでいた1.05兆円よりはるかに大きな市場価値なんです。
この例、荒唐無稽に思えますが、
実際に今の米国市場で起きていることをデフォルメ(強調表現)したものです。
マグニフィセント7が、まさにこのスーパー企業の役割を果たしています
S&P500の残り493社は引き立て役なのか
- Mag7を除いた493社の株価はあまり上がっていない
- 多くの企業がMag7に売上を捧げる構造になっている
- S&P500という舞台でMag7が主役、他はエキストラという構図
実際、Mag7を除いた「残りの493社(S&P493)」の株価は、あまり上がっていないという指摘があります
しかし見方を変えれば、
それら493社はMag7をさらに儲けさせるための土壌養分になっているとも言えるわけです。
多くの米国企業が業務効率化やクラウド利用の名目で、
Mag7企業に売上を捧げている構図があるんですね
具体的にどういうこと?
たとえばある製造業の会社がマイクロソフトのクラウドサービスを使い、
アマゾンで部品を調達し、グーグルで広告を出す。
すると、その会社の売上の一部が自動的にMag7に流れていきます。
つまりS&P500という舞台では、
Mag7が主役であり、それ以外の企業はエキストラになっているんです。
主役が輝けば輝くほど、舞台全体(S&P500)の価値も上がる。
これが今の米国株式市場の構造なんですね。
景気変動の影響を受けにくく、
自動的に成長し続けるような強力な製品・サービスを持つ企業に利益が集中するほど、
市場全体の時価総額(株価合計)は大きくなり、
投資家にとっても都合が良い結果になるわけです。
過去15年のS&P500リターンが異常に高い理由
- 2010年以降のS&P500は年率10%以上の高リターンを記録
- 過去の長期平均7〜8%を大きく上回る成長率
- スマホ普及とテック企業の急成長時期が一致している
では、この主役たち(Mag7)に投資マネーが集中すると何が起こったのでしょうか?
米国株式市場全体のリターンが底上げされました。
以下はS&P500指数の年平均成長率(CAGR=各期間の初めから終わりまで年率換算したリターン)を過去の長期期間で見たものです。
S&P500の期間別年平均リターン
- 1980–2025年(45年間):約8.0%
- 1985–2025年(40年間):約7.6%
- 1990–2025年(35年間):約7.1%
- 1995–2025年(30年間):約7.6%
- 2000–2025年(25年間):約6.9%
- 2005–2025年(20年間):約8.9%
- 2010–2025年(15年間):約11.5%
- 2015–2025年(10年間):約12.5%
- 2020–2025年(5年間):約12.2%
よく「株式の長期平均リターンは年率7〜8%程度」と言われますが、
それは2005年頃までの長期データでは確かにそのくらいでした。
ところが2005年以降、直近15年ほどで明らかにリターンが加速しています。
特に直近10〜15年(2010年代以降)は年率10%以上という高い伸びになっているんです。
これはちょうどスマートフォンの普及で生活とネットが融合し、
テック企業が急成長しはじめた時期と重なります。
偶然じゃありません。
米国経済の成長率は変わっていないのに
一方、米国の名目GDP成長率(経済成長率)を同じ期間で見ると、以下の通りです。
- 1980–2025年:年率約5.40%成長
- 1990–2025年:年率約4.74%成長
- 2000–2025年:年率約4.46%成長
- 2010–2025年:年率約4.80%成長
- 2015–2025年:年率約5.25%成長
直近はインフレで数字が大きいですが、
長期で見ると概ね年5%前後で安定しています。
つまり、米国経済自体の成長ペースは大きく変わっていないのに、
S&P500の投資リターンだけ明らかに向上したんです。
なぜでしょうか?
ここまで説明してきた通り、
インターネットとソフトウェアの力で
一部の米国企業が世界中から効率よく売上を回収できるようになった結果です。
その集大成が、マグニフィセント7だと理解できます
アップルの自社株買い17兆円が意味すること
- アップルは昨年約17兆円の自社株買いを実施
- 純利益のほぼ全てを株主還元に回す経営
- iPhone購入者の支払いが株主の利益になる構造
さらに、Mag7のような企業は大型の設備投資(工場建設など)が不要なため、
フリーキャッシュフロー(自由に使えるお金)が潤沢です。
稼いだお金で積極的な株主還元(自社株買いや配当)ができます。
たとえばAppleは昨年約1,100億ドル(約17兆円)もの天文学的な規模で自社株買い(株の買い戻し)を行いました
金額だけ見ると桁外れですが、Appleの時価総額自体が約562兆円(2025年時点)と巨大なので、
時価総額比では約3%程度に過ぎません
それでも17兆円という資金が市場に還元されたんです。
この資金は、世界中の人々がiPhoneなど高額な端末を購入し、
Appleが得た売上から生み出されたもの。
究極の資本主義マシン
Appleは純利益のほぼ全てをこうした還元に回しており、
総還元性向(利益に対する配当+自社株買い割合)が100%を超えるほどです
これは裏を返せば、誰かがブランド料たっぷりのiPhoneを買うたびに、
その利益分はまるごと株主の懐に入っているということ
まさに資本家(投資家)にとって理想的な構図であり、
「r > g(資本収益率が経済成長率を上回る)」の究極の姿とも言えます。
Mag7とは、白昼堂々と稼働し続ける格差拡大マシンであり、
資本家の夢を体現した存在と言えるでしょう。
世界中のマネーがS&P500に集まる理由
- 過去15年の高リターン実績が投資家を引きつけている
- スマホとネット普及がもたらした黄金期への理解が広まった
- 2025年現在、この繁栄が続く前提で株価が形成されている
こうした過去15年の高リターンを目の当たりにすれば、
世界中のマネーがS&P500に引き寄せられるのも当然です。
実際、投資マネーはS&P500にどんどん集まり、
「スマホとネット普及がもたらしたインデックス投資家の黄金期」への理解が広まり、
自信も揺るぎないものになりました。
2025年12月現在、米国株式市場のバリュエーション(株価水準)は、
こうした繁栄が今後も自然の摂理のごとく続くものとして完全に織り込まれています。
つまり、どういうこと?
簡単に言えば、
今の株価には「Mag7がこれからもずっと稼ぎ続ける」という期待がたっぷり含まれているということ。
この期待が正しければ、
S&P500への投資は今後も報われ続けるでしょう。
しかし、もし何らかの理由でMag7の成長が止まったら?
それは次回以降の記事で考えていきましょう。
まとめ:S&P500投資で知っておくべき真実
マグニフィセント7という7社が、
S&P500の成長をほぼ独占的に牽引している。
これが今の米国株式市場の真実です。
残りの493社は、いわばMag7を儲けさせるための土壌。
でも、それは悪いことじゃありません。
主役が輝けば舞台全体の価値が上がり、
私たち投資家も恩恵を受けられるから。
過去15年で年率10%以上という異常な高リターンを生み出した構造を理解すれば、
なぜS&P500が世界中の投資家を魅了するのかがわかります。
ただし、この構造が永遠に続くかどうかは別問題。
だからこそ、仕組みを理解した上で投資判断をすることが大切なんです。
あなたも、Mag7が牽引する米国株の成長に乗りながら、
賢く資産を増やしていきませんか?
次回は、パッシブ運用とアクティブ運用の逆転劇について解説します。
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