明治安田J1リーグ第2節。
京都サンガF.C.は敵地Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsuで、
川崎フロンターレと2対2で引き分けました。
この記事は、試合前に書いたレビューと、試合後の感想を1本にまとめたものです。
先に結論を書きます。
やりたいサッカーと、スタメンの選び方が噛み合っていません。
後半に3人替えて、9分間で2点を取って逆転しました。
ではなぜ、それを最初からやらないのか。
この記事は、その一点を数字と構造で説明していきます。
選手個人のプレーに対する評価は、現地観戦した筆者個人の見解です。
数値はJリーグ公式サイト、Football LAB、各クラブ公式サイトの2026年8月15日時点の掲載値に基づきます。
シュート数は媒体によって集計が分かれたため、複数のソースで一致した項目のみを記載しています。
結論|京都サンガF.C.のスタメン選考とやりたいサッカーが噛み合っていません
結論は3つです。
- ゴールキーパーからのビルドアップは、いまの京都サンガにはハイリスク・ローリターンです。
- ポゼッションを優先するからサイドバックが上がれず、攻撃が単発で終わっています。
- 後半のメンバーでやれるなら、先発を考え直すべきです。
この3つは、今日に始まった話ではありません。
開幕戦の数字が、すでに同じことを示していました。
まず、その試合前レビューから振り返ります。
【試合前レビュー】開幕戦のデータが予告していた京都サンガの構造的欠陥
ここは、この試合が始まる前に書いた内容です。
結果を知ってから読むと、意味が変わって見えます。
保持55.4%でxG0.847・被xG1.515という開幕戦の実測値
8月9日の開幕戦、京都サンガF.C.はV・ファーレン長崎に1対2で敗れました。
xGはエックスジーと読み、日本語ではゴール期待値といいます。
放ったシュートが、その位置と状況から平均してどれくらい得点になるかを数値化したものです。
ゴール正面の至近距離なら1本で0.5点分を超えることもありますが、遠い位置から無理に打てば0.02点分にしかなりません。
つまりxGは、シュートの本数ではなくシュートの質を測るものです。
Football LABの実測値を並べます。
| 指標 | 京都サンガF.C. | V・ファーレン長崎 |
|---|---|---|
| ボール保持率 | 55.4%(リーグ5位) | 44.6% |
| シュート数 | 10本(リーグ14位) | 14本 |
| xG(ゴール期待値) | 0.847 | 1.515 |
| パス数 | 487本(リーグ8位) | ー |
| 得点 | 1 | 2 |
図1:開幕戦の京都サンガF.C.の実測値。保持率は高いのに、xGでは大きく下回っています。
ボールは半分以上持っていました。
パスも487本回した。
それでもいい場所からのシュートは、相手の56%しか作れていません。
ボールを持てなかったのではなく、持っていたのに危ない場所へ運べなかった。
これが開幕戦の正体でした。
もうひとつ、Football LABの奪取という指標では、京都サンガF.C.はリーグ19位でした。
20クラブ中の19番目です。
川崎フロンターレも保持66.5%で被xG2.064|同じ穴を抱えていた
相手の川崎フロンターレも、同じ形の穴を抱えていました。
開幕戦の東京ヴェルディ戦は1対1の引き分け。
同点ゴールは90分プラス6分、ラザル ロマニッチ選手でした。
| 指標 | 川崎フロンターレ(開幕戦) |
|---|---|
| ボール保持率 | 66.5%(リーグ2位) |
| xG | 1.501 |
| 被xG | 2.064 |
図2:川崎フロンターレも、保持率とゴール期待値がねじれています。
ボールを3分の2持ちながら、ゴール期待値では負けている。
つまり両チームとも、持っているのに刺される構造でした。
試合前の私は、ここを京都が突けると考えていました。
結果は、少し違いました。
この予想、半分当たって半分外れました。順番に説明します。
【試合結果】川崎フロンターレ2対2京都サンガF.C.の得点経過
ここからが試合後です。
44分の失点から、54分と58分の逆転まで
| 時間 | 得点者 | スコア |
|---|---|---|
| 44分 | ラザル ロマニッチ選手(川崎フロンターレ) | 0-1 |
| 54分 | 福田心之助選手(京都サンガF.C.) | 1-1 |
| 58分 | ラファエル エリアス選手(京都サンガF.C.) | 1-2 |
| 65分 | マルシーニョ選手(川崎フロンターレ) | 2-2 |
図3:得点経過です。後半のわずか4分間で逆転しました。
入場者数は22,660人。
天候は晴れ、気温26.7度。8月中旬のナイターでした。
京都サンガF.C.の先発は4-2-3-1。
GK太田岳志選手。DF福田心之助選手、ウェベルトン選手、鈴木義宜選手、新井晴樹選手。
MFジョアン ペドロ選手、福岡慎平選手、平戸太貴選手、佐藤響選手、アレックス ソウザ選手。FWラファエル エリアス選手。
開幕戦から2つ動きました。
エンリケ トレヴィザン選手が外れて鈴木義宜選手が入り、加藤蓮選手はベンチスタートです。
ボール保持率45%|開幕戦とは逆の負け方だった
この試合の数字で、はっきりしているものを挙げます。
| 指標 | 川崎フロンターレ | 京都サンガF.C. |
|---|---|---|
| ボール保持率 | 55% | 45% |
| コーナーキック | 6本 | 1本 |
| 得点 | 2 | 2 |
ここが開幕戦と決定的に違うところです。
開幕戦の京都は保持55.4%で、持っていたのに運べなかった。
この試合は保持45%で、そもそも持てなかった。
負け方の種類が、1週間で変わっています。
同じ狙いで戦っているはずのチームが、です。
正直に書きます。
前半、私は0対6になってもおかしくないと思いながら見ていました。
大げさに聞こえるかもしれませんが、コーナーキック6対1という差は、そういう時間帯があったことを示しています。
パパスタ前半だけで言えば、完全に殴られてました。ほんまにしんどかった。
【試合後分析】京都サンガはゴールキーパーからのビルドアップをやめるべきです
では、なぜ持てなかったのか。
ここからが、今日いちばん言いたいことです。
足元の技術が追いつかず、ショートカウンターの的になっている
自陣の後ろからパスをつないで攻撃を組み立てることです。
ゴールキーパーがセンターバックに渡し、センターバックからボランチへ。
地上戦で相手を外しながら前進します。
この形には、絶対に外せない前提があります。
後ろの選手の足元の技術が、相手のプレッシャーに耐えられること。
これ一点です。
想像してみてください。
自分のゴールから10メートルの位置で、正面から突っ込んでくる相手を前にして、
ワンタッチで正確に味方へ渡す。
しかも相手は2人、3人と寄せてくる。
この試合の京都サンガは、そこでバタバタしていました。
相手陣の近くでボールを奪い、短い距離でそのまま仕留める攻撃です。
奪う場所がゴールに近いため、時間もパスの本数もいりません。守る側にとって、いちばん嫌な失点の形です。
つまり、いちばん危険な場所で、いちばん難しいことをやり続けていたことになります。
図4:払っているリスクに対して、返ってきているリターンが小さいという構造です。
リスクは高い。失敗すれば即失点。
ではリターンは何かというと、つないだ先で決定機ができているかというと、できていない。
リスクだけ払って、見返りが返ってきていません。
これをハイリスク・ローリターンと呼びます。
もっと簡単でいいんです。
難しいことをしなくても、前に運ぶ方法はあります。
ポゼッションするから京都サンガのサイドバックが上がれない
もうひとつ、これと直結している問題があります。
サイドバックが上がれないのです。
ボールを保持しようとすると、後ろで数的優位を作る必要が出ます。
ゴールキーパーとセンターバック2枚では足りないので、サイドバックも低い位置に残ってパスコースを作る。
設計としては筋が通っています。
しかし結果として起きるのは、攻撃に人数をかけられないという事態です。
図5:ポゼッションを優先した結果、攻撃が単発で終わる連鎖です。
サッカーは、最後は人数の勝負になる場面が多い競技です。
相手の守備が4人いるところに2人で行っても、ほとんど何も起きません。
3人4人と後ろから湧いてくるから、相手は誰を見ればいいか分からなくなる。そこでズレが生まれます。
この試合の京都サンガは、前線に人が足りていませんでした。
だから一度シュートで終わって、また最初から。その繰り返しになります。
福岡慎平選手と平戸太貴選手|中盤中央のバランスが取れていなかった
もう一点、前半について書いておきます。
中盤の中央です。
中盤の選手の仕事は、大きく2つに分かれます。
前を向いて効果的なパスを出すこと。
そして、相手が来たときにそこに立っていること。
この2つを複数人で分担するから、真ん中が埋まります。
この試合は、その分担がはまっていませんでした。
結果として真ん中がスカスカに見え、前に効果的なパスも出せていません。
これは選手個人の能力の話ではなく、誰がどこに立つかという設計の話だと考えています。

また後半頭の3枚替え|尹星俊選手が入って京都サンガは前を向けた
ここからが、この試合のいちばん重要な部分です。
後半開始と同時に、また3人替えました。
| 交代で下がった選手 | 交代で入った選手 |
|---|---|
| 福岡慎平選手 | 尹星俊選手 |
| 佐藤響選手 | 奥川雅也選手 |
| アレックス ソウザ選手 | 加藤蓮選手 |
先週の開幕戦も、後半頭に3枚替えでした。
2試合続けて、まったく同じことをしています。
そして、また変わりました。
54分に福田心之助選手、58分にラファエル エリアス選手。
わずか4分間で、0対1を2対1にひっくり返しました。
理由は、私はひとつだと思っています。
尹星俊選手が、前を向いてくれるからです。
前を向いて、前にパスを出す。
それだけで、チーム全体が前がかりになれる。
この試合で京都サンガが初めて相手陣で圧力をかけられたのは、尹星俊選手が入ってからでした。
福田心之助選手が本来のプレーを見せた理由
この試合、福田心之助選手が活き活きしていました。
本来のプレーが出ていましたし、ゴールも決めています。
ただ、これは福田心之助選手が急に上手くなったという話ではありません。
前にパスが出るようになったから、上がっていい状況が生まれた。
それだけです。
サイドバックが上がれる。人数がかけられる。だから点が入る。
さきほどの「攻撃が単発で終わる連鎖」の、ちょうど裏返しです。
パパスタ後半のメンバーでやれるんやったら、最初からそれでええやん。素直にそう思いました。
去年の縦に速いサッカーのほうが良かった、という話
個人的な好みの話も、正直に書いておきます。
こねくり回して相手に詰められるよりも、
縦に速くて、後ろからどんどん選手が出てくる去年のサッカーのほうが良かったと思っています。
粗いところはありました。下手だな、と感じる場面もありました。
それでも、見ていて面白かったし、点も入っていました。
好みの問題だと言われれば、それまでです。
ただ、今日の後半に起きたことは、まさにその形でした。
「まだ2試合目」では済まない|ACLエリートを戦う京都サンガの準備不足
ここからは、厳しい話をします。
おそらく、こういう意見が出ます。
まだ2試合目だと。新しい監督なのだから、これから合っていくものだと。
私は、そうは思いません。
2026年8月9日に、J1の全クラブが同じスタートを切りました。
準備期間も、条件はほぼ同じです。
つまり、どれだけ準備してきたかで、すでに勝負は始まっています。
これが今季J2から昇格したばかりのクラブなら、私も理解します。
J1の速さに慣れる時間が必要なチームは、実際にあります。
しかし京都サンガF.C.は違います。
京都サンガF.C.は、AFCチャンピオンズリーグ・エリート2026/27シーズンへの出場が決まっています。
クラブとして初めてのアジアです。
アジアを戦うクラブが、国内リーグの開幕にやりたいサッカーを間に合わせられていない。
これは準備不足だと言われても仕方がないと考えます。
ポポヴィッチ監督も、後半のメンバーならやれることは分かっているはずです。
分かっていて、なぜ最初から出さないのか。
心配しているのは、この暑さのなかで後半の強度を90分続けるのは無理だ、と監督が考えている可能性です。
前半は抑えて、後半にギアを上げる。そういう設計なのだとしたら。
それは危険です。現にこの試合、その前半で先制されています。
ウェベルトン選手を使い続ける理由が分かりません
戦術とは切り離して、もう一点だけ書きます。
先に、認めるべきことを書いておきます。
日々の練習を見ている監督には、私に見えていない材料があるはずです。
起用には理由があるのだろうと思います。
そのうえで、見ていて思ったことを正直に書きます。
ウェベルトン選手は、この試合もしんどく見えました。
軽率に見えるミスが目につきました。
2試合続けて先発で、2試合続けてそう感じています。
京都サンガF.C.が次のホームゲームで変えるべき3つのこと
批判だけで終わらせません。具体的な打ち手を書きます。
自陣ゴール前で難しい技術を要求する回数を減らすこと。
前進の手段を、地上戦だけに一本化しないという意味です。リスクを払う場所を、自陣から相手陣に移します。
後ろで数的優位を作ることより、攻撃に人数をかけることを優先すること。
後半に福田心之助選手が活きたのは、上がっていい状況が生まれたからです。
前を向ける選手を最初から中央に置くこと。
2試合続けて、後半に投入してから流れが変わっています。判断材料としては十分だと考えます。
すべてこの試合の後半に、実際に機能していたものです。
新しい戦術を持ち込む必要はありません。すでに手の内にあるものを、最初から出すだけです。
京都サンガ対川崎フロンターレのよくある疑問
- 川崎フロンターレ対京都サンガF.C.の第2節の結果は
-
2026年8月15日、Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsuで行われ2対2の引き分けでした。44分にラザル ロマニッチ選手、65分にマルシーニョ選手が川崎フロンターレ、54分に福田心之助選手、58分にラファエル エリアス選手が京都サンガF.C.のゴールです。入場者数は22,660人でした。
- 京都サンガの後半の交代は誰が入りましたか
-
後半開始と同時に3人が入りました。福岡慎平選手に代えて尹星俊選手、佐藤響選手に代えて奥川雅也選手、アレックス ソウザ選手に代えて加藤蓮選手です。その後70分に平戸太貴選手に代えて本田風智選手、90分プラス2分にウェベルトン選手に代えてアピアタウィア久選手が入りました。
- なぜ京都サンガはゴールキーパーからのビルドアップをやめるべきなのですか
-
自陣ゴール前という最も危険な場所で、最も難しい技術を要求する形だからです。失敗すればショートカウンターで即失点につながる一方、つないだ先で決定機が作れていません。リスクに対して見返りが小さい、いわゆるハイリスク・ローリターンの状態だと筆者は考えます。
- 京都サンガの現在の順位と勝ち点は
-
2試合を終えて1分1敗、勝ち点1です。第1節でV・ファーレン長崎に1対2で敗れ、第2節で川崎フロンターレと2対2で引き分けました。
- 京都サンガはACLに出場するのですか
-
はい。AFCチャンピオンズリーグ・エリート2026/27シーズンへの出場が決まっています。クラブとして初めてのアジアの舞台です。
まとめ|勝ち点2を拾ったと思おう。次のホームは絶対に勝たないといけない
整理します。
開幕戦は保持55.4%でxG0.847、被xG1.515。持っていたのに運べませんでした。
この試合は保持45%、コーナーキック6対1。そもそも持てませんでした。
負け方の種類は変わりましたが、原因は同じ場所にあります。
ゴールキーパーからのビルドアップと、ポゼッション優先の設計です。
そして解決策は、2試合続けて後半に示されています。
前を向ける選手を中央に置き、サイドバックを上げ、人数をかける。
それだけで、9分間に2点が入りました。
厳しい言い方をします。
アジアを戦うクラブが、開幕にやりたいサッカーを間に合わせられていない。
これは準備不足です。
それでも、最後は前を向いて終わります。
正直に言えば、2対7で負けていてもおかしくない試合でした。
その試合で、川崎フロンターレから勝ち点1を持ち帰っています。
ここは、勝ち点2を拾ったと思うことにしましょう。
負け試合を引き分けに変えたのは、間違いなく後半のあの2点です。
ポポヴィッチ監督は試合後、こう語っています。
我々は確実に前進しています。開幕戦と比べて、それを示せたと思っています
1対0のビハインドから2点を獲って逆転し、難しい条件のなかでエネルギーを出してくれました
出典:京都サンガF.C.公式サイト マッチレポート(2026年8月15日確認)
修正が必要なのは、より守ること。そして正確なポジショニングを取ること。
監督自身がそう述べています。
アウェイ2連戦で勝ち点1。
ここからホームに帰ります。
次のホームゲームは、絶対に勝たないといけません。言い訳はできません。
私もまだ結論は出してません。2試合で監督を評価できるほど、サッカーは単純やないので。


今日のポッドキャスト(音声では楽しく話しています)
Spotify / Apple Podcastsにて配信中です。
この記事で参照した一次情報と出典
- Jリーグ公式|川崎F vs 京都 試合結果・データ(2026年8月15日)
- 川崎フロンターレ公式|2026/27 J1リーグ第2節 対京都サンガF.C. ゲーム記録
- 京都サンガF.C.公式|J1第2節 川崎フロンターレ戦 マッチレポート
- Jリーグ公式|長崎 vs 京都 試合結果・データ(2026年8月9日)
- Football LAB|京都サンガF.C. チームデータ
- Football LAB|川崎フロンターレ チームデータ
- Jリーグ公式|AFCチャンピオンズリーグElite 2026/27 京都サンガF.C.の出場が決定
- 京都サンガF.C.公式|ACLエリート2026/27出場決定のお知らせ
- 京都サンガF.C.公式|ウェベルトン選手 期限付き移籍加入のお知らせ
- Jリーグ公式|京都サンガF.C. 選手名鑑
※本記事における選手個々のプレー評価は、筆者個人の見解です。
数値は各サイトの2026年8月15日時点の掲載値に基づいています。
シュート数は媒体により集計が分かれたため、記載していません。
