米国株の”今”をやさしく解説をやります。
私自身、投資は積み立てNISAでS&P500にフルベットしています。
最近、資産が想像以上に増えていることに正直驚いています。
でも同時に「これって本当にずっと続くのかな?」という不安も感じていました。
そんな時、投資インフルエンサー五月さんが書かれたnote(S&P500神話の終わる時)を読んで
衝撃を受けました。
S&P500への盲信は危ないかもしれない、と。
でも正直、投資の記事って専門用語が多くて難しい…。
そこで今回、S&P500に投資している当事者として、
初心者の目線で五月さんのnoteを読み解いてみました。
この記事を読めば、米国株式市場の本質的な変化と、
S&P500投資のリスクを理解できます。
「神話」として盲信するのではなく、
リスクを知った上で賢く付き合う方法を見つけましょう。
30年前と今では全く違う!米国株式市場トップ企業の顔ぶれが激変した理由
1990年代の米国市場は「暮らしを支える企業」が主役だった現実
- 石油、通信、小売など生活に密着した企業が上位を独占
- エクソン、AT&T、ウォルマートなど実体経済の企業が主役
- 時価総額トップでも1000億ドルに届かない規模感
1990年代の米国株式市場は、私たちの日常生活を直接支える企業が中心でした。
エクソンモービル(石油)、
AT&T(通信)、
ウォルマート(小売)、
ゼネラル・エレクトリック(電機)、
メルク(製薬)、コカ・コーラ(飲料)、
シティグループ(銀行)が並んでいました。
たとえば、ガソリンスタンドで給油したり、
スーパーで買い物したり、
病院で薬を受け取ったりする。
これらすべてが、株式市場のトップ企業が提供するサービスだったのです。
1992年のトップ企業エクソンモービルでさえ、
時価総額は759億ドル程度でした。
こうした企業が市場を支配していた時代、
株式市場は確かに「実体経済の鏡」だったと言えるでしょう。
2025年の米国市場は「テクノロジー企業」が圧倒的に支配している
- 上位10社だけでS&P500全体の約35%を占める異常な集中
- NVIDIA、Microsoft、Appleなどテック企業が時価総額4兆ドル超
- 伝統企業は上位テック企業の10分の1程度の規模に縮小
2025年現在、様子は一変しています。
NVIDIA(半導体設計)、
Microsoft(ソフトウェア)、
Apple(IT機器)、
Amazon(Eコマース・クラウド)、
メタ(SNS)、
ブロードコム(半導体)、
アルファベット(検索エンジン)、
テスラ(電気自動車)というテクノロジー企業で占められています。
たとえば、NVIDIAの時価総額は約4兆7000億ドル、
Microsoftは約4兆1000億ドル、
Appleは約4兆ドルという規模です。
一方で、かつてトップだったJPモルガンやウォルマートは約0.8兆ドル前後に留まっています
1992年のトップ企業と比べて時価総額の規模自体が約50倍以上に拡大する中、
伝統企業は相対的に大きく後退したのです。
現在の米国株式市場は、
一部のテック企業に極端に集中した構造になっています。
なぜテクノロジー企業がここまで巨大化したのか?その3つの理由
- ソフトウェアは追加コストほぼゼロで世界中に配布可能
- インターネットで国境を越えた展開が瞬時に実現
- 利用者が増えるほど価値が上がるネットワーク効果
テック企業がこれほど巨大化した背景には、
ビジネスモデルの根本的な違いがあります。
昔の企業が成長するには
各国に店舗や工場を建て、現地の言葉に合わせて製品を作り直し、
たくさんのスタッフを雇う必要がありました。
これには膨大な時間とお金がかかります。
たとえば、MicrosoftのWindowsやGoogleの検索エンジン、
YouTubeなどを考えてみてください。
一度開発してしまえば、
ほぼ追加コストゼロで世界中に配れます。
しかも利用者が増えれば増えるほど、そのサービスの価値は高まります(ネットワーク効果)。
結果として、地元の小規模企業では太刀打ちできなくなりました。
こうして生まれたのが、過去に例のない速さで成長し、
驚異的な利益を生む現在のテックカンパニー群なのです。
驚異の利益率40%超!テック企業の「稼ぐ力」は規格外の水準
主要テック企業の営業利益率が示す圧倒的な収益力
- Microsoft、Metaは営業利益率40%台という異次元の数字
- NVIDIAは直近の四半期で62%という驚異的な利益率
- 伝統的な製造業や小売業では考えられない高収益体質
主要テック企業の営業利益率(売上100円あたりいくら儲けが出ているか)を見ると、
その収益力の高さに驚きます。
Microsoftは40%台、Meta(Facebook)も40%台、
アルファベット(Google)やAppleも30%台という高水準です。
たとえば、NVIDIAは直近の四半期で営業利益率62%という驚異的な数字を叩き出しています。
これは売上の半分以上が利益として残るということ。
伝統的な製造業や小売業では、営業利益率20~30%でも非常に優秀とされる中、
これは規格外の収益力と言えます。
※営業利益率とは、企業が本業でどれだけ効率的に利益を上げているかを示す指標です。
このような高収益体質が、
テック企業の時価総額を押し上げている大きな要因なのです。
世界中の需要を米国から独占できる仕組みと日本の「デジタル赤字」
- インターネット経由で世界中の需要を米国内から獲得
- 日本のデジタル赤字は2024年に6.7兆円と過去最大を記録
- Netflix、Spotify、クラウドサービスなど支払先は米国企業
テック企業は米国内にいながら、インターネット経由で世界中の需要を獲得できます。
2014年と比較すると3倍以上に拡大しています。
たとえば、私たち日本人の生活を考えてみましょう。
Netflixの月額料金、
Spotifyの月額料金、
クレジットカードの手数料、
スマホの通信費、
クラウドサービスの利用料。
これらの多くは米国企業に支払われており、
静かに経済的な支配が進んでいる状況です。
デジタル関連収支を構成する項目は、スマートフォン等のOSやアプリケーションのライセンス料、クラウドサービス利用料、インターネット広告の広告料など、米国のビッグテックのシェアが高い領域が中心となっている
経済産業省の試算によると、
2030年にはデジタル赤字が10兆円に達する見通しです。
世界中の企業や国が、まるで米国に間接的な税金を納め続けているような状況になっています。
企業活動にも必須のインフラになったクラウドサービスの影響力
- AmazonのAWSに障害が起きると多数のサービスが停止
- 多くの企業がクラウドに依存してDX(業務のデジタル化)を推進
- 米国テック企業の「支配圏」がさらに拡大中
個人だけではありません。
企業にとっても、米国テック企業のサービスは今やなくてはならない存在です。
AmazonのクラウドサービスAWS(Amazon Web Services=企業がデータやシステムをインターネット経由で利用できるサービス)に障害が起きると
ゲームやSNS、ECサイトまで幅広いサービスが止まります。
たとえば、多くの企業が自社サーバーではなくクラウドに依存し、
業務を効率化するDX(デジタルトランスフォーメーション=デジタル技術を使って業務を根本から変革すること
を進めています。
この流れは今後さらに加速するでしょう。
クラウドやDXの浸透とともに、
米国テック企業の支配圏はさらに広がり、
世界中が依存する構造が強まっているのです。
S&P500の性質が変わった!株式市場と実体経済の関係が薄れている現実
「株価は景気を半年先取りする」という常識が崩れた理由
- 株式市場の主役が実体経済企業からデジタル企業に交代
- 日常の景気感覚とS&P500の好調さが連動しなくなった
- マグニフィセントセブン(M7)と呼ばれる7社がS&P500の約35%を占める
かつて「株価は景気を半年先取りする」と言われ、
株式市場は実体経済を映す鏡のように考えられてきました。
しかし少なくとも米国に関しては、この関係性は大きく薄れています。
なぜでしょうか?
先ほどもお伝えしたとおり
株式市場の主要プレイヤーが、
現実の街で物を売る企業から、デジタル空間で巨額の利益を生み出す企業に入れ替わったからです。
たとえば、
私たちの日常生活の景気感覚(物が売れているか、人々が消費しているか)と、
S&P500の好調さは必ずしもリンクしなくなりました。
実際、S&P500の約35%をマグニフィセントセブン(M7)と呼ばれる7社(Amazon、Apple、Alphabet、NVIDIA、Tesla、Microsoft、Meta)が占めています。
極端に言えば、この7社の業績次第でS&P500全体が大きく動く構造になっているのです。
景気が多少悪くてもテック企業は成長を続けられる構造
- 世界中のデジタル化の波に乗り続けるテック企業
- 実体経済の浮き沈みに左右されにくいビジネスモデル
- S&P500の堅調さを長年支えてきた構造的要因
こうした構図がある限り、
景気に多少のブレがあっても米国テック企業の成長は揺るぎません。
世界中がデジタル化する流れの中で、
米国テック企業はその波に乗り続けています。
たとえば、2020年のコロナショックでは、S
&P500は約34%下落しましたが、
その後急速に回復。
特にテック企業は在宅勤務やオンラインサービスの需要拡大で大きく成長しました。
実体経済が停滞する中でも、デジタル空間で稼ぐ企業は影響を受けにくかったのです。
そしてそれが米国株式市場の堅調さを長年支えてきました。
銀行やメーカーなど伝統企業を遥かに凌ぐ時価総額をテック企業が持つようになった今、
S&P500という指数の性質も大きく変容したのです。
実体経済と株式市場の乖離が示す新しい投資環境
- IMFも「実体経済と乖離している」と警戒感を表明
- 主要中央銀行の金融緩和が過大なリスクテイクを生んだ可能性
- 投資家は新しい市場環境を理解する必要がある
日米などの株価上昇に対して「実体経済と乖離しており、割高感がある」と警戒感を示しました。
主要中央銀行が金融緩和で約640兆円規模の資産購入に踏み切り、
投資家が過大にリスクをとっている可能性を指摘したのです。
たとえば、街の商店街がシャッター街になっていても、
デジタル企業の株価は上昇を続けるという状況が起こりえます。
これは昔の「株価は景気の先行指標」という常識とは全く異なる市場環境です。
私たち投資家は、この新しい環境を理解した上で、S&P500に投資する必要があるのです。
積立NISA投資家として知っておくべき重要なポイント
S&P500は今も最適解だけど「神話」として盲信してはいけない
- S&P500は凡人には今も有力な投資先の一つ
- でも「絶対に儲かる」という盲信は危険
- リスクを知った上で賢く付き合う姿勢が重要
私は投資について無知なので、
大勢の方と同様にS&P500にフルベットしています。
現在、資産がとても増えているので正直びっくりしています。
今回全10回の記事を通じて言いたいのは、
S&P500は万能じゃないけど、凡人には今も最適解の一つだと思っている
ということです。
でも「神話」として盲信するのは危ない。
米国株式市場は実体経済と別物になりつつあり、
一部のテック企業に極端に集中しています。
たとえば、これら7社に何か大きな問題が起きれば、
S&P500全体が大きく影響を受ける可能性があります。
リスクを知った上で、冷静に向き合っていくことが大切なのです。
引き続きNISAの範囲で投資を続ける理由と注意点
- テック企業の成長トレンドはまだ続く可能性が高い
- 分散投資と長期投資の基本原則は変わらない
- 一時的な下落は長期投資なら乗り越えられる
それでも私は引き続き、
NISAの範囲でS&P500への投資を続けるつもりです。
なぜなら、テック企業の成長トレンドはまだ続く可能性が高く、
分散投資の基本は変わらないからです。
たとえば、過去のS&P500は2000年のITバブル崩壊で40%以上下落し、
2008年のリーマンショックでは50%以上下落しました。
しかし長期的には上昇を続けてきた実績があります。
一時的な下落は長期投資なら乗り越えられると考えています。
ただし「絶対に儲かる」と盲信するのではなく、
市場の変化を理解した上で、冷静に向き合っていきたいと思っています。
まとめ:変化を知って賢く投資しよう
今回は「米国株式市場が実体経済と乖離してきた背景」として、
企業トップの入れ替わりとテック企業の台頭について解説しました。
1992年と2025年を比較すると、
米国では革新的な企業が現れ、生活スタイルを変えるようなイノベーションが起きています。
そしてその流れは2025年の今も続いています。
- 1990年代は実体経済に密着した企業が主役
- 2025年現在はテック企業が市場の35%超を占める
- デジタル化により日本のデジタル赤字は6.7兆円に拡大
- S&P500の性質が変わり実体経済との連動性が低下
次回は、このテック企業たち(特に「マグニフィセントセブン」と呼ばれる7社)がS&P500に与えている影響について、もう少し踏み込んで解説します。
あなたの大切な資産を守り、育てるために。変化を理解し、リスクを知り、賢く投資を続けましょう。
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