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【2025年本屋大賞ノミネート】『死んだ山田と教室』レビュー|涙腺崩壊必至の友情物語!本屋大賞ノミネート作品を読んでみた感想と考察【金子玲介作品】

本記事では、2025年本屋大賞にノミネートされた金子玲介さんの
『死んだ山田と教室』を実際に読んだ感想をお伝えします。

  • 死んでしまったあと声と耳だけ残ったらどうする?
  • 長い孤独な時間を耐えることができますか?
  • それでも不老不死でも良いですか?

多くの人が考えたくない問いかもしれません。

でも、この小説はそんな重いテーマを

軽やかなタッチで描きながら、

最後には読者の心をがっちり掴む作品です。


全国の書店員が「面白い」「お客様に薦めたい」と認めた本書。

その魅力と読後に残る感動を、

これから詳しく紹介していきます。

読み終えた後、

あなたも誰かに

「これ、読んだ方がいいよ」と伝えたくなるはずです。

目次

『死んだ山田と教室』1分で分かる内容要約

『死んだ山田と教室』は、

夏休み直前に飲酒運転の車にひかれて亡くなった高校生・山田の物語です。

山田は男子校のクラスの人気者でした。

だれもが山田の死を悲しんでいました。

2学期初日、悲しみに包まれた教室で

突然スピーカーから山田の声が聞こえてきます。

なんと山田の魂がスピーカーに宿ったのです。

話すことと聞くことしかできない「声だけの山田」と、

2年E組の仲間たちの不思議な日常が始まります。

クラスの人気者だった山田は、

復活早々に最強の席替え案を披露するなど、

相変わらずの活躍をみせます。

最初はコメディタッチで描かれる学園生活ですが、

時間が経つにつれて徐々に変化していく友人関係と、

取り残される山田の孤独が切なく描かれていきます。

成長していく友達と、

永遠に高校生のままの山田。

そのギャップが生み出す感動と

予想外の結末に、多くの読者が涙しています。

著者・金子玲介(かねこ れいすけ)とは?

金子玲介さんは本作『死んだ山田と教室』で

第65回メフィスト賞を受賞して作家デビュー。

本屋大賞2025年にノミネートされた新人作家です。

『死んだ山田と教室』をこんな人に読んでほしい

青春小説が好きな人におすすめ

高校生活を舞台にした青春物語が好きな方には

ぜひ読んでいただきたい一冊です。

登場人物たちのリアルな会話や感情表現が、

高校時代の思い出を鮮やかによみがえらせてくれます。

笑いと涙両方を味わいたい人にぴったり

本作の特徴は、

前半のコメディタッチから

後半の切ない展開へと変化する構成です。

笑いながら読み進めるうちに、

いつの間にか涙が出ている…

そんな感情の波を体験したい方におすすめします。

生命の尊さを考えたい人に読んでほしい

突然の死と不思議な復活を通して、

生命の尊さについて深く考えさせられる物語です。

永遠に「変化できない」山田と

「変化し続ける」クラスメイトの対比を通して、

「生きている」ということの意味を問いかけてきます。

【感想】最初はコメディースタート、ラストかなり切ない、涙が止まらなかった

いきなりの死亡で始まる物語の衝撃

最初に山田の死が明かされるという衝撃的な始まり方に、思わず引き込まれました。

しかし、予想に反して重苦しい雰囲気ではなく、

むしろ軽快な展開が続きます。

「夏休みが終わる直前、山田が死んだ。」

この一文から始まる物語は

死というテーマを扱いながらも不思議と読者を暗い気持ちにさせない

というバランス感覚が素晴らしいと感じました。

コメディタッチで描かれる男子高校生の日常

山田がスピーカーに宿った後の教室のやり取りは、

思わず笑ってしまうシーンの連続です。

特に、バカな会話を楽しむ男子高校生たちの様子が実に生き生きと描かれています。

「俺、2年E組が大好きなんで」

というスピーカーから流れる山田の言葉が、

この物語の温かさを象徴しているように感じました。

クラスの観察眼を持つ人気者・山田

山田がクラスで人気者だった理由が

詳細に描かれる場面は印象的でした。

彼が提案した席替えの案は、

単なる思いつきではなく、

クラスメイトの視力や聴覚など細かな特性まで観察した緻密な分析に基づいていたのです。

相性や関係性だけでなく、視力や聴覚など細かな観察力に裏打ちされた分析だった

教室内のことを熟知した「眼」を持つ山田だからこそ、

みんなから慕われていたことがよく分かります。

徐々に変わる友情関係と深まる孤独

物語が進むにつれて、

クラスメイトたちは成長し、進級し、

やがて卒業していきます。

しかし山田だけはスピーカーの中で

永遠に高校生のまま教室に取り残されます。

この「時間の流れの差」が生み出す孤独感が、

次第に物語の核心となっていきます。

みんなが進級しても、卒業しても、どれだけ成長しても教室に独り取り残される山田の孤独

この設定が、読者の心に深く刺さります。

「もし自分が山田だったら」と

想像するだけで胸が締め付けられる思いでした。

山田の内なる葛藤

山田自身も当初は

「2年Bの仲間とずっとバカやっていたい」という思いがあるものの

仲間が卒業して

ぜんぜん会いに来てくれなくなり

それでも意識だけはずっとあり続け

教室の音だけは聞こえ続けます。

2年生も世代が変わり続け

膨大な時間だけが流れていく・・・。

自分だけが教室に取り残されて

「もう消えてしまいたい」という

感情がうごきます。

クラスメイトたちの複雑な心境

クラスメイトたちの反応もまた、一様ではありません。

最初の頃は人気者の山田が

スピーカーとして生き残ってくれて

みんな喜んでいますが

そのうち進級し、卒業して

大人になると

それぞれ考え方が変わります。

山田のためになんとか母校の教員として戻ってこようとする者や

「思い出の中のアイツで留めておきたい」と考える者や

「いつまでも構っているから成仏できないんだ」と言う者

さらには「アイツは完全に消えるタイミングを失った」と腐す者まで現れ始めます。

これら多様な反応が示す人間関係の機微が、

物語に奥行きを与えています。

時間の止まった山田と成長するクラスメイト

物語の核心部分とも言える、

時間の流れの違いによる齟齬。

あるクラスメイトは

「だって山田くんの時間、ずっと止まってるんだもん。こっちはもう大人になってるのに、どんな言葉掛けたらいいかわかんないよ」

と言います。

この言葉に象徴されるように、

永遠に高校生のままの山田と、

大人になっていくクラスメイトたちとの間に生まれる溝が、

物語の悲しさをより深いものにしました。

感情を揺さぶる結末の衝撃

最後まで読み終えた時、

予想もしなかった展開に涙が止まりませんでした。

友人の和久津の選択や物語の結末は、

読者の感情を激しく揺さぶります。

まさに本屋大賞にノミネートされるべき作品だと納得。

読み終えた後も長く心に残る、そんな一冊でした。

『死んだ山田と教室』から学ぶ人間関係の大切さ

「当たり前」の日常がどれだけ貴重か

本作を通して強く感じたのは、

友達と過ごす「当たり前の日常」がどれほど貴重なものかということです。

山田の突然の死によって、

クラスメイトたちは初めてその大切さに気づかされます。

私たちも日々の忙しさに追われて、

周りの人との関係を「当たり前」だと思ってしまいがちです。

この物語は、そんな私たちに重要な気づきを与えてくれます。

友情は形を変えても続いていく

山田はスピーカーという形でクラスに存在し続けますが、

それは友情が形を変えても続いていくことの象徴のように思えます

物理的な距離や状況が変わっても、

心のつながりは消えないというメッセージに心打たれました。

成長と停滞の対比

物語の中心テーマの一つは、

成長し続けるクラスメイトと、

永遠に高校生のままの山田との対比です。

卒業し、社会人になっていく仲間たちとは裏腹に、一人だけ教室に取り残される焦燥と孤独を抱える山田

この対比が、時間の流れと生命の尊さについて

読者に深く考えさせるきっかけになります。

Audibleで『死んだ山田と教室』を聴く魅力

『死んだ山田と教室』は

Amazonのオーディオブック「Audible」でも楽しむことができます。

スピーカーに宿った山田の声という本作の設定は、

オーディオブックで聴くことでより臨場感が増すでしょう。

ナレーターには有名な声優や俳優が揃っています。

彼らの演技力が、さらに物語を深めます。

ナレーターは自身のキャラクターに合った声色を使用し、

それぞれのシーンを臨場感たっぷりに描き出します。

これにより、

リスナーはまるでその場にいるかのような感覚を味わうことができます。

ナレーターの丁寧な朗読が、

物語を一層引き立てています。

特に山田の「声だけ」というキャラクター性を考えると、

Audibleでの体験は本作の世界観をより深く味わえるかもしれません。

まとめ:『死んだ山田と教室』はなぜ本屋大賞ノミネート作品なのか

『死んだ山田と教室』は、死という重いテーマを扱いながらも、

前半は笑いあり、

後半は涙ありの絶妙なバランスで読者を魅了する作品です。

本作から学べることは多く、

特に「当たり前の日常の大切さ」や

「生命の尊さ」について深く考えさせられます。

私自身、読み終えた後は周りの人たちとの関係を

より大切にしたいと強く感じました。

本屋大賞にノミネートされた理由も納得の一冊。

友情、青春、喪失と再生といったテーマを、

軽やかでありながらも

深い感動を伴って描き出す力量は、

まさに素晴らしいの一言です。

「もし自分が山田だったら?」

「和久津だったら?」

そんな問いを自分に投げかけながら読み進める体験は、

きっとあなたの心に長く残るはずです。

ぜひ、手に取ってみてください。


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