「寝ても疲れが取れない」
「夕方になると集中力が切れて、甘いものをドカ食いしてしまう」
「休日は泥のように眠っているのに、月曜日の朝が一番ダルい」
もしあなたがこんな症状に悩まされているなら、それは単なる「肉体疲労」ではありません。
脳と細胞が内側から錆びついている<新型疲労>の可能性があります。
そして、その疲れを癒やすために良かれと思って食べている「甘いもの」が、実は疲れを倍増させる真犯人だとしたらどうでしょう?
今回は、2025年に発売された最新刊、
東京女子医科大学教授・市原淳弘医師の著書『疲れとり大図鑑』をもとに、
私たちが陥りがちな「回復の勘違い」と、
最新医学に基づいた「食事による疲労回復メソッド」を徹底解説します。
精神論ではなく、体のメカニズムに基づいた「ロジカルな休息」を手に入れましょう。
疲れの正体は「サビ」と「火事」
そもそも、なぜ私たちは疲れるのでしょうか?
本書では、疲れの正体を『酸化ストレス(体のサビ)』と定義しています。
私たちは呼吸によって酸素を取り込みますが、
その約2%が体内で『活性酸素』という物質に変化します。
その量はなんと1日約7リットル(500mlペットボトル14本分)。
この活性酸素が細胞を攻撃し、
ミトコンドリアの機能を低下させ、
体の中で炎症を引き起こします。
これが「ダルい」「重い」という疲労感の正体です。
視覚化する「疲れハンバーガー」理論
市原医師は、この複雑な疲労の構造を「ハンバーガー」に例えています。
これが非常に分かりやすいので紹介します。
- 上のバンズ(パン)= 精神的ストレス
- 日々のプレッシャーが上から押しつぶしてくる状態。
- チーズ = 酸化ストレス(サビ)
- 活性酸素によるダメージが、溶けたチーズのように全身にへばりつく。
- パティ(肉)= 炎症
- 肉厚なパティのように、体内に炎症がドッシリと居座る。
- トマト・レタス = 栄養不足・代謝低下
- 新鮮さを失った野菜は、回復に必要な栄養が足りていないサイン。
- 下のバンズ(パン)= 睡眠不足
- 土台がグラつけば、すべてが崩壊する。
多くの人は「下のバンズ(睡眠)」さえ補強すればハンバーガーは消えると思っています。
しかし、間の具材(酸化ストレスや栄養不足)を食事で取り除かない限り、
疲れというハンバーガーはなくならないのです。
なぜ「疲れた時の甘いもの」は逆効果なのか?
「疲れたら甘いもの」は、古くからの迷信であり、現代人にとっては<罠>です。
本書では、甘いものが疲労回復どころか、
さらなる疲労を招くメカニズムを以下のように解説しています。
【悲報】1時間後にはエネルギー切れを起こす
甘いもの(加工糖)を食べると、血糖値が急激に上昇します(血糖値スパイク)。
脳にブドウ糖が供給されるため、
食べてから30分程度は「元気が出た」錯覚に陥ります。
しかし、体は急いで血糖値を下げようとインスリンを大量放出します。
その結果、今度は血糖値が急降下し、『反応性低血糖』を引き起こします。
- 集中力の低下
- 猛烈な眠気
- イライラ
これらはすべて、血糖値の乱高下によって脳がパニックを起こしているサインです。
さらに、血糖値の変動そのものが活性酸素を発生させ、脳細胞に新たなダメージを与えます。
衝撃のデータ:チョコバー vs 10分ウォーキング
心理学者ロバート・セイヤー博士の研究(1987年)によると、エネルギー回復において以下の結果が出ています。
- チョコバーを食べた場合:直後は元気になるが、1時間後には食べる前よりも疲労感と緊張感が増した。
- 10分間の早歩きをした場合:2時間にわたりエネルギーレベルが高まり、緊張が緩和された。
つまり、デスクワークで疲れた時にすべきなのは、コンビニに行くことではなく
「その辺を少し早歩きすること」なのです。
脳・体・心を回復させる「3つの食事ルール」
では、具体的に何を食べれば、この「疲れハンバーガー」を解体できるのでしょうか?
本書が提唱する3つの黄金ルールを紹介します。
ルール①:脳が疲れたら「ベジ・ファースト」
これはダイエットだけでなく、疲労回復の鉄則です。
食事の最初に野菜(食物繊維)を食べることで、血糖値の急上昇を抑え、脳へのダメージを防ぎます。
- 効果:ブロッコリーを先に食べるだけで、白米による糖の吸収を最大40%抑制できるというデータもあります。
- 実践:ランチではサラダや小鉢から箸をつける。これだけで午後の眠気が劇的に変わります。
ルール②:体がだるい日は「運動後30分」を狙う
運動をした後、そのまま何も食べずにいると、体は筋肉を分解してエネルギーを作ろうとします。これでは疲れが溜まる一方です。
- ゴールデンタイム:運動後30分以内。
- メニュー:糖質 + タンパク質。
- 例:おにぎり + ゆで卵
- 例:バナナ + ギリシャヨーグルト
このタイミングで栄養を補給すると、筋合成のスピードが3倍になるという報告もあります。「運動したらすぐ食べる」が正解です。
ルール③:心がしんどいときは「腸をいたわる」
「脳腸相関」という言葉がある通り、腸内環境とメンタルは直結しています。ストレスで胃が痛くなるのはそのためです。逆に言えば、腸を整えればメンタル疲労も軽減します。
- 推奨食材:発酵食品(ヨーグルト、納豆、味噌)、食物繊維、オメガ3脂肪酸(サバ、サーモン)。
- データ:腸内環境を整えることで、ストレスが32%減少したという研究も紹介されています。
明日からできる「疲れとり」最強の間食リスト
どうしても小腹が空いた時、罪悪感なく食べられて、かつ疲労回復に役立つ「神おやつ」をピックアップしました。
バナナ:天然のエナジードリンク
バナナはGI値(血糖値の上昇度合い)が低く、エネルギーが持続します。
さらに、幸せホルモン「セロトニン」の材料となるトリプトファンが豊富です。
午前中の認知機能を約19%向上させるというデータもあります。
高カカオチョコ + アーモンド
甘いものが諦められないなら、カカオ70%以上のダークチョコを選びましょう。
さらにアーモンドを5粒一緒に食べることで、血糖値の上昇を3割以上抑制できます。
夜ヨーグルト + はちみつ
就寝前のヨーグルトは、夜間のインスリン感受性を改善する効果が期待できます。
砂糖ではなく、抗酸化作用のあるハチミツを少しかけるのがポイントです。
結論:食事を変えれば、人生の「可動域」が広がる
「疲れたら栄養ドリンクを飲んで、週末に寝溜めする」
この対処療法は、借金を別の借金で返しているようなものです。
いつか必ず破綻します。
【東京女子医科大学教授】である市原医師が教えてくれるのは、
「食事という毎日の習慣で、疲れにくい体質(サビにくい体)を作る」という根本治療です。
- お菓子をナッツに変える。
- 一口目を野菜にする。
- 疲れたら10分歩く。
これらは、高価なサプリメントを買うよりもはるかに経済的で、科学的な効果が実証されています。
まずは今日のランチから、「ベジ・ファースト」を試してみませんか?
その小さな変化が、あなたの重たい体を劇的に軽くしてくれるはずです。
