「また毒親か…」と思ったら、本当のテーマは”友達”だった
お悩みさん本屋大賞1位の小説を読んだけど、重いテーマで読み進められるか不安…
そんな方に届けたい読書感想です。
この記事を書いている私は、
小説初心者のリアリスト。
前提知識なく読み始め
正直「またこういうやつか」と思いました。
でも読み終えて気づいたのは
この作品の本当のテーマは「友達の大切さ」だということ。
感動ポルノ?違います。
これは「生き直すエネルギーをくれる劇薬」です。
あらすじ・登場人物・世間の評価・私の正直な感想まで、全部書きます。
52ヘルツのクジラたちとは?作品基本情報
『52ヘルツのクジラたち』は、
2021年の本屋大賞第1位を受賞した、町田そのこさんの初長編小説です。
出版社は中央公論新社。
単行本は2020年4月21日に発売。
文庫版は2023年5月25日刊行。
受賞歴は本屋大賞だけでなく、
王様のブランチBOOK大賞2020、読書メーターオブ・ザ・イヤー2020でも第1位という、読書界を席巻した話題作。
2024年には杉咲花主演で映画化もされています。
Filmarksでの映画レビューは18,000件を超え、平均スコア3.9という高評価を記録中です。
52ヘルツのクジラとは?タイトルの意味
52ヘルツのクジラとは——実在するクジラです。
他のクジラが聞き取れない高い周波数(52ヘルツ)で鳴く、世界でたった一頭の孤独なクジラ。
たくさんの仲間がいるはずなのに、何も届かない。 何も届けられない。
そのため「世界で一番孤独なクジラ」と呼ばれています。
この物語の登場人物たちは、みんな「52ヘルツのクジラ」なんです。
誰かに届けたい声があるのに、届かない。
SOSを出しているのに、誰にも気づかれない。
あらすじ(ネタバレなし)
主人公の三島貴瑚(きこ)は26歳の女性。
いわゆる「毒親」のもとで育ち、
兄弟がいるにもかかわらず義父の介護をひとりで押しつけられてきました。
精神的に限界を迎えて死を覚悟したとき、
高校時代の友人・美晴と、美晴の職場の同僚・岡田安吾(アンさん)に救われます。
数年後。 東京を離れ、
大分の祖母の家に移り住んだ貴瑚は、13歳の少年と出会います。
この少年は母親から虐待を受け、「ムシ」と呼ばれ、言葉を話せなくなっていた。
かつての自分と重ねた貴瑚は、
少年を「52」と呼んで、「聞き逃した声への贖罪」として助け出そうとします。
過去と現在が交互に描かれながら、孤独な人々が声を届け合う魂の物語でした。
世間の評価と正直なところ
多数派の声:「読んで良かった」「一気読み」
「読み始めたら止まらなかった」「一気読み」という感想が非常に多いです。
「通勤電車でマスクの下で泣いた」という声もあちこちで見られます。
「暗闇に必ず光がさすことを教えてくれる」
「人の温もりが心にゆっくり染み渡る」という声が多数。
読後感の良さについては、批判派も含めほぼ全員が認めています。
少数派の声:「御都合主義」「テーマが多すぎ」
一方で「キャラクターが泣かせるための配置に見える」
「社会問題を詰め込みすぎ」という批判もあります。
これはあくまで個人の受け取り方の問題であり、読者の2〜3割程度の意見として紹介しておきます。
どちらの感想も「正しい読み方」ですので、
多様な意見のひとつとして参考にしてください。
私の感想——本当のテーマは「友達」だった
「またこういうやつか」というのが、正直な第一印象でした。
本屋大賞ということで前情報なしで読んだら、毒親テーマ。
最近この手の小説が多くて、読むたびに「自分は子どもにとって良い親になろう」と思う——の繰り返しで。
でも今回、読み終えて気づいたことがありました。
この作品の本当のテーマは、毒親でも虐待でもなくて「良い友達を持つことの大切さ」だ。
主人公・貴瑚が「死ぬ」と決めた道で足を止めたのは、
学生時代の友人・美晴が駆けつけたからです。
牧岡美晴——この人が本当にすごい。
自分も毒親持ちという辛い過去があるのに、
それでも貴瑚のために動く。 ズバズバ言う。
でも絶対に裏切らない。
「こういう人は必ず幸せになってほしい」と、
フィクションのキャラクターに対して初めて心から思いました。
一応ハッピーエンド(なのか?という疑問は残りつつも)で終わりますが、
本作を読んで得た最大の教訓は「学生時代に良い友人を作っておくことの大切さ」です。
若い頃に本気でSOSを出せる相手を作ること。 そしてその人が苦しいときに駆けつけること。
それが人生のセーフティネットになるんだと、改めて気づかされました。
Audibleで聴くのもおすすめ
Audible(Amazon)でオーディオブック版も配信されています。
プロの声優・ナレーターによる朗読で、
登場人物の感情が声で直接伝わってくる体験は格別です。
特に少年・52が初めて「声」を発するシーンは、
文字で読むよりも音声で聴くほうが心に刺さるという声もあります。
通勤・家事・運動中にも聴けるので、「本を読む時間がない」方にも特におすすめです。
まとめ
『52ヘルツのクジラたち』は、
重いテーマながら読後に「生き直すエネルギー」をくれる一冊です。
毒親テーマに免疫のある方も、初めて読む方も
「友達の大切さ」「誰かの声を聞くこと」
について深く考えさせられます。
そして何より、牧岡美晴という人物の存在が、
この本を単なる「悲しい話」から「希望の物語」に変えています。
ぜひ一度手に取ってみてください。


